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もふもふ猫のお城

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【あらすじ紹介&ネタバレ考察レビュー】映画「怒り」を見て【前編】

知人に急に誘われ、予備知識全く無しで、

先日公開されたばかりの映画「怒り」を観に行きました。

www.ikari-movie.com

まだ見ていない人向け(ネタバレなし)

見始めてすぐ「お、おい、先にぼんやり伝えとけよ!」と思うくらい、テーマの大きな強烈な作品でした。調べない私も悪いのですけど(笑)

前日は家で劇場版ラブライブ!を鑑賞し、「今が最高ー!」状態だったのでとてつもない落差でした。

 

映画「怒り」概要

吉田修一の原作を映画化した「悪人」で国内外で高い評価を得た李相日監督が、再び吉田原作の小説を映画化した群像ミステリードラマ。

名実ともに日本を代表する名優・渡辺謙を主演に、森山未來松山ケンイチ広瀬すず綾野剛宮崎あおい妻夫木聡と日本映画界トップクラスの俳優たちが共演。

犯人未逮捕の殺人事件から1年後、千葉、東京、沖縄という3つの場所に、それぞれ前歴不詳の男が現れたことから巻き起こるドラマを描いた。

東京・八王子で起こった残忍な殺人事件。犯人は現場に「怒」という血文字を残し、顔を整形してどこかへ逃亡した。

それから1年後、

千葉の漁港で暮らす洋平と娘の愛子の前に田代という青年が現れ、

東京で大手企業に勤める優馬は街で直人という青年と知り合い、

親の事情で沖縄に転校してきた女子高生・泉は、無人島で田中という男と遭遇するが……。

 

 ー 怒り : 作品情報 - 映画.com より引用

 

PG12指定について

本作はPG12指定の映画です。あんまり意識したことがないのですが、PG12ってなんでしょう?

なんとなくR15の下位互換かなって感じがしますよね。

PGとはparental guidance(ペアレンタルガイダンス) の略。

12歳未満(小学生以下)の鑑賞には不適切な表現が含まれるものには、成人保護者の同伴が適当。性・暴力・残酷・麻薬描写・ホラー映画・小学生が真似をする可能性のある映画が審査の対象になる。

 ー PG-12とは - はてなキーワード より引用

ふむ、概ね認識は合っていたようです。Rとは異なり、保護者同伴であれば小学生未満でもOKなんですね。

 

でもちょっと待てよ、「マッドマックス 怒りのデスロード」とか、湊かなえ原作の「告白」R15だったよな…

あくまで個人的な感想ですが、これらより本作の方が強烈だったと思うのですよね。

不思議に思いさらに調べたところ、実はPG12やR指定には明確な判断基準はなく、映倫(映画倫理管理委員会)の判断に委ねられているのだとか。

なるほど、PG12だからといってR15よりもソフトな表現とは限らないようです。

こればっかりは視聴者の感覚に委ねられてしまいますね。

なので、ネタバレにならない程度でどのような描写があるのかをご紹介します。

ご参考にどうぞ!

 

性的描写

異性愛描写、同性愛描写(本作の場合はゲイセクシャル、男性同士の恋愛)が共に含まれます。

特に後者は、物語の根幹に関わるテーマでもあるため、かなり詳細・濃密に描かれています。

前者については、愛のある営みではありません。苦手な人は注意が必要です。

 

残酷描写

こちらは比較的軽めであると感じました。テレビドラマでもなんとか放送できるレベル、もしかしたらPTAから苦情はくるかも?という印象でした。

ただ序盤は、血が苦手な人には辛いかもしれません。

 

この映画はサスペンス?ミステリー?いいえ、社会派映画です

いわゆる「謎解き」要素は薄いです。

徐々に犯人に関する情報は明かされていくのですが、それだけで犯人を特定できるレベルではありませんでした。

メインはあくまで「社会的問題の提起」であり、推理や謎解きはスパイス程度と考えると良いと思います。

 

特徴

有名キャスト、有名スタッフてんこ盛り

私はあまりテレビを見ないので芸能人に疎いです。また、人の顔と名前を覚えるのも苦手です。

そんな私でも、なんとなく名前が浮かぶような有名俳優・女優が多数出演しています。

多分、一人一人が主演を張れるレベルなのでは…?

ただ、一人一人の登場シーンははっきり区別されていますし、髪型等の風貌による差別化もバッチリ!さらにご本人の演技力も手伝って、登場人物の把握はかなりしやすい作品になっています。

 

さらに音楽は坂本龍一さん、監督は「フラガール」や「悪人」で知られる李相日さんです。

お、お金がかかっていそう…

 

社会問題てんこ盛り

先に「この映画はサスペンスでなく社会派!」と書いたように、社会問題をこれでもかと詰め込みまくった内容です。

鑑賞後ハッピーになる映画ではないので、付き合い始めのカップルさんには厳しいかも。

私は祝日夕方の回に鑑賞しましたが、一人か同性同士のグループが多かったように思います。

 

映画から?原作の小説から?

映画からをお勧めします!

原作はかなりの長編ですし、テーマも重いため、気楽に読める本ではなさそうです。

電子版も未発売ですしね。

 

また、映画では描ききれなかった細かなエピソードも多いようです。

なので、先に映画を見て楽しみ、大筋を理解し、その後原作小説で世界を深めていくという流れが良さそうです。

 

 

もう見た人向け(ネタバレあり)

ここから下はガンガンネタバレしています。注意!

ここまで読んで、面白そう・観に行こうかなと思っている人は引き返した方が良いかもしれません。

舞台(東京・千葉・沖縄)別+総合考察の4パートに分かれています。

一度見ただけですので、セリフなどの些細な誤りはご容赦ください。

気がついたらとても長くなってしまい、沖縄と総合考察は別記事に続きます。

公開後リンクを追加します!

 

【東京編】

東京編は他のパートに比べ、かなりストレートに映像や行動・言葉でテーマを伝えてきているように感じました。

なので、考察というより感想になってしまいますが…

ナオト(綾野剛)は優しすぎるよね?
  • ナオト「お母さんのお見舞いに行きたい」→ ユウマ「そういうのやめろ」
  • ユウマ(妻夫木聡)「葬式は来ないでくれ、何て紹介したらわからないから」
  • ナオト「ユウマは堂々と生きてて素敵、一緒にいられて幸せ」

 

ナオト聖人か。

ユウマの発言や葛藤はマイノリティであるが故だとは思うのですが、もう少し欲張って怒ったり悲しんだりしてもいいのよ、と見ていて思いました。

苦労の多い人生だったことの裏返しなんでしょうね…ほろり。

 

  • ユウマ母が亡くなった時に病室の外で待つシーン
  • 部屋に入らず公園でユウマの帰りを待つシーン
  • 一緒のお墓の一連のシーンやセリフ

その他たくさん、遠慮深いというか自己評価が低いというか情が深いというか、庇護欲を刺激する、とにかく良い役でした。

長生きして幸せに暮らして欲しいと思う一方、ナオトからすると幸せだったんだろうなぁ。

死に場所に公園の草むらの中を選ぶって、満たされていないと無理な気がします。

少しでも寂しさがあれば、誰かに見つけて欲しくてもう少し目立つところを選ぶんじゃないかと。

 

【千葉(勝浦)編】

アイコ(宮崎あおい)は知的障害なのか?

作中では、はっきりと診断名が明かされていたわけではありません。

ただ、作り手は明確な意図を持って、なんらかの軽度な知的障害を持つ女性として描いているように思います。

性風俗に身を沈めてしまう女性には軽度の知的障害の方が多いという説がありますが、そのパターンを想起させる描き方でした。

以前NHKで特集され、話題になりました。以下のリンク先より番組内容を文章で確認できます。

www.nhk.or.jp

 

根拠となるシーンは三つ。

  • NPO職員「客の要望になんでも健気に応えてしまう、エスカレートして行ってギリギリだった」(風俗店にて)
  • 従姉妹(池脇千鶴「アイコ、あんたいい加減にしなさいよ」(千葉に連れ戻された車中にて)
  • お父ちゃん(渡辺謙「この子は昔から少し普通と違うところがあって」

家出が一度や二度でなく常習犯であったことや、

家族の目から「そう」感じるところが以前からあったということがわかりますね。

 

知的障害についての知識がない人から見れば、大人なのに、無垢で幼すぎる女性のようにしか感じないかもしれません。

宮崎あおいさんはこういった線引きの微妙な役を演じるのがとても上手ですね。

 

タシロはなぜ出て行ったのか?

アイコはタシロのカバンに40万円を入れておき、電話で「殺人犯じゃないならちゃんと帰ってきて」と伝えます。

この一連の行動から「逆に、もし殺人犯ならそのお金で逃げて」というアイコの切実なメッセージが読み取れます。

タシロもそれに気がついたはずですので、出て行った理由としては二つ考えられます。 

  • 疑われたことが悲しかった
  • アイコが信じてくれていても、自分の経歴では迷惑をかけてしまうと思った

多分どっちもかなぁ。きっと複雑な感情で、だからこそ電話をかけてしまったのでしょうね。

普段から口数の少ないタシロが電話をかけるって、相当な葛藤や覚悟があっただろうと推察されます。

 

唯一、誰が見てもハッピーエンドと思えるのは千葉編だけでしたね。

電車のシーン(序盤でお父ちゃんに連れ戻されるアイコ

終盤でタシロを連れ戻すアイコ)の対比がとても良かったです。 

 

後編記事に続きます

沖縄編、総合考察は鋭意執筆中です。

現段階でかなり長い考察になっています… 主にタナカ(森山未來)のせいです。

ご興味ありましたら、引き続きお付き合いください♪